僕と、君は世界一。

Wedding bells / sunsets_for_you
僕と、君は世界一。
introducing 「ブリジット・ジョーンズの日記」「ウェディング・シンガー」
先日、親子ほど齢の離れた若い娘さんから結婚式に招待され、出席した。
驚いたことが二つある。
私服はもちろん、彼女はどんなダサい制服でもダサさを感じさせない着こなしができる。
そのせいか、純白のウェディング・ドレスが彼女ほど似合う美しい花嫁を見たのは初めてだった。映画で見た数多くの花嫁と比べても、まったく遜色がない。
人なつこい笑顔も普段とまったく変わらず、それが彼女の魅力をいっそう際立たせていた。
そしてウェディング・シンガーが加わった結婚式も初めてだ。アフリカ系の女性シンガーがセレモニーの合間に数曲熱唱した。
恋愛映画に使われた歌も2曲あった。いずれの映画もヒュー・グラントが3枚目的な役で出演している。
新郎はハーフ顔だが、流石に一歩及ばずだ。
式の間じゅう、僕は歌手の名前が思い出せなかった。最初の歌はエルヴィス・コステロである。
席を立つとき、隣りにいるレコード屋の洋楽担当に訊ねた。「『オール・バイ・マイセルフ』のオリジナルって誰だっけ?」
「ボケないで下さいよ、坂本さん。エリック・カルメンですよ。でもあれはマライア・キャリー・バージョンだな」
彼は間違っている。もと映画担当としては、ジェイミー・オニール・バージョンだ。
ハイホー、マンハッタン坂本です。
有名な話だが、エリック・カルメンの「オール・バイ・マイセルフ」は、ラフマニノフのピアノ協奏曲第2番をモチーフにしている。
24歳のときに第1番を発表したセルゲイ・ラフマニノフは、あまりの不評に自信を失い、3年間苦悩の日々を送る。そして生み出したのが第2番である。
超絶技巧をこらしたピアノ協奏曲は、彼にとって復活の証しとなった。
のちにロシア革命でアメリカに亡命してからは、「ライ麦がささやき、白樺がざわめく」原風景となる。
エリック・カルメン「オール・バイ・マイセルフ」
あたしは独りぼっち! どうしてなの?
あたしは独りぼっち! もうイヤ
若かった あの頃 孤独と無縁だった日々
楽しむためのセックス 今は過ぎ去った過去
あたしは独りぼっち! どうしてなの?
あたしは独りぼっち! もうイヤ
パジャマ姿でワインを飲み干す。なりふり構わず腕を広げ、髪を振り乱し、口を大きく開いて熱唱する。
年明け早々、32歳のブリジット・ジョーンズ(レニー・ゼルウィガー)が日記を書き始める。そして決意する。今年こそ良識ある男を見つける、最悪な男に恋心を抱かない、と。
母親が主催したカレー・パーティで、おしゃべりで酒ガブガブで煙草プカプカの独身女だと陰口を叩かれる。一瞬夢の彼氏かと思った男が振り返ると、トナカイのセーターを着ている。
だがもっと最悪な男が身近にいた。勤めている出版社の編集長ダニエル・クリーヴァー(ヒュー・グラント)である。
ずっと避けていたが、出版記念パーティのあとのディナーで口説かれ、ベッドインする。パーティで再会したトナカイ男、弁護士のマーク・ダーシー(コリン・ファース)が婚約者を寝盗られたと告白したせいかもしれない。
グレース・ケリー気取りで週末旅行を楽しんだのもつかの間、ダニエルの浮気現場に遭遇する。相手はアメリカ本社から来た婚約者だという。
出版社を辞め、TV局のレポーターになる。ボスと寝て転職する羽目に、と正直に言って採用されたからだ。
自分以外はすべてカップルの夕食会で、マークと再会する。
帰り際、追いかけてきたマークがカレー・パーティでの無礼を謝罪する。ありのままの君が好きだ、と告白される。
マークの計らいでクルド人運動家にインタビューする。とってもカッコいい弁護士さんです、と臆面もなくカメラに向かって言い放ち、評判となる。
ブリジットの誕生日にマークが訪ねて来る。友人たちも駆けつけお祝いをしている最中、ダニエルが現れる。マークと取っ組み合いの喧嘩を始める。
マークの両親のルビー婚パーティへ出かける。
お高く構えて、カチン!と来ることを言うけど、ありのままのあなたが好きだ、と告白する。
雪の日、アメリカへ栄転したはずのマークがブリジットのもとへ戻っくる。
新しい日記帳をプレゼントされる。やっと良識ある男とキスする。
(注釈1)
ジェイミー・オニール「オール・バイ・マイセルフ」
1985年、ボーイ・ジョージみたいなキモいバック・ボーカルとバンドを従えたロビー・ハート(アダム・サンドラー)がカルチャー・クラブのナンバーで結婚披露宴を盛り上げている。
新郎の酔っ払った兄(スティーブ・ブシェーミ)がスピーチで失言すると、僕も過ちを犯したけど、来週結婚します、と言ってナイス・フォローする。
悪酔いした未成年者を店の外に連れ出し介抱していると、仕事初日のジュリア(ドリュー・バリモア)が休んでいる。ちょっとドジだが、ぽっちゃりした愛らしい笑顔の娘だ。
私の式でも歌ってくれる?と頼むので、ロビーは約束の握手をする。
だが仕事着姿のジュリアが行ったロビーの結婚式場に、花嫁が現れない。現れたのはその日の夕方で、居候している姉夫婦の家の前でガックリしているときだ。
私が愛したのは6年前のデビッド・リー・ロスみたいなロック歌手で、ウェディング・シンガーじゃないと言い訳される。アバズレ!と甥が代わりに悪態をついてくれる。
復帰初日は幸せ顔の客にムカつき当り散らすが、なんとか立ち直る。
結婚式の準備を手伝ってほしいとジュリアから頼まれる。婚約者のために移り住んだばかりで、町を知らないからだ。
仲間たちも協力してくれる。何故かジョージが試着した純白のウェディング・ドレスが好評だ。
聴いた人の心に直接響くようなラブソングを書きたい、とロビーは告白する。
ジュリアがねだるので、ザ・キュアーばりのリズムを刻み新曲を歌う。後半はギターをかき鳴らし、殺してくれと叫ぶ。作っている最中にリンダと別れたからだ。
ジュリアに忘れ物を届けに行く。同居する従姉からウェディング・キスのやり方を訊かれる。教会用の舌でとジュリアが言うので、実際にやってみてと焚きつけられる。
新郎の代役のつもりが、ロビーは本物の恋人ようにキスをする。しばらくの間、ジュリアがぽーっとしている。
ジュリアの婚約者が彼女を裏切っていることに感づいたとき、彼女を想う自分に気づく。
愛を見つけたら逃すな、と言われたロビーが彼女の家へ向かう。2階を見上げると、ウェディング・ドレスを着たジュリアが鏡に向かって幸せそうに挨拶をしている。
挙式を直前でキャンセルしたジュリアが婚約者と共にラスベガス行きの飛行機に乗る。ロビーがあとから追う。
ビリー・アイドルが機内アナウンスをしてくれ、マイクに向かって歌い出す。
君の悲しみを 笑顔に変えたい
君の手足になりたい
君と一緒に年老いていきたい
皿洗いは僕に任せて 飲みすぎたら介抱を
きっと君となら 楽しく年をとれる
君と一緒に年老いていきたい
互いの愛を確かめ合った二人は、心行くまでキスをする。
純白のウェディング・ドレスに身を包んだジュリアの笑顔がまぶしい。いつかの酔っ払いがスパンダーバレエの「トゥルー」を歌っている。
(注釈2)
アダム・サンドラー「グロー・オールド・ウィズ・ユー」
よく言われることだが、結婚披露宴はショーであり、年寄りたちの娯楽である。
着飾った若いカップルの幸せそうな姿は、若者の誰よりも年寄りたちに幸福をもたらす。
久々に結婚式に出席して、つくづくそう思った。還暦が近いせいかもしれない。
80過ぎた両親にとって、僕は救いがたい放蕩息子である。時々息子なのか孫なのか訳の分らぬガキ扱いをされる。連れがいないし、隠し子すらいないからだ。
まあ仕方ない。僕自身、結婚に関して14歳の少年のままだ。いまだに僕が「ウェディング・ベル・ブルース」に首ったけだからだ。
天才シンガー・ソングライター、ローラ・ニーロのデビュー曲を黒人5人組であるフィフス・ディメンションが1969年にソウルフルに歌った名曲である。
ビルボード年間ベストテンに入った大ヒット曲とはいえ、今さらウェディング・シンガーが歌っても、40年以上前の歌を知る日本人は少ない。
フィフス・ディメンション「ウェディング・ベル・ブルース」
注釈1、「ブリジット・ジョーンズの日記」(監督:シャロン・マグワイア)
イギリス・フランス映画 2001年製作 原題:Bridget Jones’s Diary
原作:ヘレン・フィールディング

メーカー:ジェネオン・ユニバーサル
メディア:Blu―ray
注釈2、「ウェディング・シンガー」(監督:フランク・コラチ)
アメリカ映画 1998年製作 原題:The Wedding Singer

メーカー:ワーナー・ホーム・ビデオ
メディア:Blu―ray
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