だまされるなら、思い切り気持ちよく。

m.c. escher was not a rapper / Torley
だまされるなら、思い切り気持ちよく。
introducing 「リトル・ロマンス」「ゴースト/ニューヨークの幻」「バリー・リンドン」
「都会という大自然」 この言葉にどんな意味があると思いますか?
70年代中期、ドラマのタイトルのために僕が編み出した言葉だ。僕自身、未だに明確な説明ができない。
同じ時期、イタリア語を知らない僕にとって、PARCOは意味不明な言葉だった。
名称だけではない。頻繁に流れるCFも漠然としたイメージだけだ。でもカッコよくて好きだった。
ドラマの内容は、自主映画を製作する大学生たちの青春コメディである。
このキャッチコピーみたいなタイトルの裏に、100%人工的なものが好きな僕の嗜好がある。都会に住んでいる限り、100%天然なものなんかあり得ない。そう思っているからだ。
たとえドキュメンタリーだろうと、すべての映画は100%人工的なものだ。裏を返せば、嘘八百である。
だからこそ、楽しく観たい、思い切り気持ちよくだまされたい、そう思う。恋愛ものだろうと、コメディだろうと、スペクタクルだろうと、お涙頂戴でも構わない。
こんばんは、マンハッタン坂本です。
一方、映画を見ながら主人公と一緒に相手をだましまくるのも気持ちのいいものだ。快感ですらある。「スティング」とか「ペーパームーン」とかいい例だ。
しかしながら、登場人物が嘘をついていると分かっていても、だまされてみるのもいいものだ。
ジュリアス(ローレンス・オリヴィエ)は、蝶ネクタイの老紳士といった風采だが、スリの常習犯である。
ふとしたことからパリ郊外に住むダニエルとアメリカ生まれの美少女ローレン(ダイアン・レイン)の13歳のカップルと知り合う。
日が沈む時、ベニスの“ため息の橋”の下で、ゴンドラに乗った恋人同士がキスをすれば永遠に愛し合える、なんて作り話をする。
それを真に受けたローレンは、二人を引き連れ家出をする。帰国が迫っているからだ。ベニスへ行く途中、家出が新聞に載り、ジュリアスの前科もベニスの伝説が嘘だということもバレる。
それでも彼は、ダニエルとローレンに向かって力強く訴える。
「真実にするのは君らだ」
僕らは、映画の中のカップルと共に、伝説を創れるような気がした。
(注釈1)
A little romance – movie trailer
オダ・メイ(ウーピー・ゴールドバーグ)はインチキ霊媒師。
いつもの調子でデタラメをやっている最中に、強盗に殺されさまよえる「ゴースト」となった銀行員のサム(パトリック・スウェイジ)の声が聞こえ、あわてふためく。
秘書じゃないのよ、とサムに怒りつつ、彼と同棲していたモリー(デミ・ムーア)に真犯人を伝えようとする。モリーは、二人の秘め事をいくつも聞かされ、やっと彼女の言葉を信じる。
サムと交信して以来、霊を呼び寄せることも自分の体に取り憑かせることもできるようになったオダ・メイの前に、再び彼が現れる。殺人の黒幕である銀行の同僚に復讐するためだ。
もう一度触れ合いたいと願う二人に対し、オダ・メイは覚悟を決める。そしてサムに言い放つ。
「あたしを役に立てて。気の変わらないうちに」
現世でもお迎えが来たパトリックだが、カラフルな光に包まれ昇天したのだろうか。
(注釈2)
「アンチェインド・メロディ」(歌:ライチャス・ブラザース)
レイモンド・バリー(ライアン・オニール)は、生まれつきの悪党でも詐欺師でもなかった。アイルランドの紳士階級の息子で、初恋の従姉を取られまいと決闘したイングランド軍大尉を撃ち殺し、故郷を追われる。
だが大尉は生きていた。高収入の婿殿を守るために従姉の兄弟にだまされたのだ。
バリーは、ダブリンへ行く途中、追剥に遭い無一文となる。仕方なくフランスと七年戦争中のイングランド軍の兵卒となる。将校服と身分証と馬を盗んで脱走するが、同盟国プロシア軍の大尉に見破られ、プロシア軍の兵卒にさせられる。
戦後、大尉を救った功績を買われ、ベルリンでスパイを命じられる。そこで出会ったのがアイルランド出身の賭博師シュバリエ(パトリック・マギー)である。
従者の面接で即座に身分を明かしたバリーは、イカサマの手伝いをしながらバクチ好きの貴族から金を巻き上げる。ベルリンを脱出して自由の身になってからは、シュバリエと共にヨーロッパ中の貴族を相手に、イカサマ賭博で荒稼ぎをする。そしてベルギーで出会ったのがイングランドのレディ・リンドン(マリサ・べレンソン)である。
彼はわずか6時間で彼女の心を奪い、愛人となる。
夫のリンドン卿の死後、結婚して「バリー・リンドン」となってからは、女遊びなど放蕩の限りをつくす。将来のために爵位を手に入れるよう実の母から忠告され、助けになる貴族を毎日のように贅沢にもてなし、リンドン家の財産を食いつくす。
だが始めから反感を抱いていた前夫の息子ブリンドン卿の挑発に乗り、貴族たちの目の前で彼を殴り倒し、その野望も費える。反動でバリーの実の息子ブライアンを溺愛するが、あろうことか、幼い息子が落馬する。
「二人とも約束して。二度と喧嘩をしないで、愛し合うって」
死の間際、健気な息子が両親の手を握りしめる。
だがその願いもむなしく、バリーは泥酔する毎日。レディ・リンドンは半狂乱となる。
そしてブリンドン卿との決闘で左足を切断したバリー・リンドンは、終身年金を条件に故郷のアイルランドへ去る。
純朴な紳士だったバリーの放浪は、それでも終わらない。
(注釈3)
僕は、比較的だまされやすい方だ。すべてにおいて。
だがこの40年間、ゴマンと映画を観てきたせいか、犯人探しの映画以外はそう簡単にだまされない。つまらない映画だとすぐ眠たくなる。
残念ながら「ゴースト もういちど抱きしめたい」は眠い映画だった。
何よりも不満なのは、樹木希林の出番が少なかったからだ。オリジナルの「ゴースト/ニューヨークの幻」で、ウーピー・ゴールドバーグが演じた霊媒師の役だ。
監督のジェリー・ザッカーはスラプスティック(ドタバタ喜劇)映画ばかり撮っていたが、初めて大真面目に「ゴースト」を監督し、世界的な大ヒットを飛ばした。とは言っても半分はコメディである。米アカデミー賞でウーピーが助演女優賞を獲得したのも頷ける。
日本版リメイクが僕にとって退屈なのは、名女優・樹木希林を起用していながら、彼女を最大限に生かしていないからだ。
気持ちよくだまされたい。
その相手が恋人であっても、映画監督であっても、たとえ詐欺師であっても。愛情がこもってさえいれば。
ただ、CFにだまされて飲んだ酒ほどまずいものはない。
注釈1、「リトル・ロマンス」(監督:ジョージ・ロイ・ヒル)
アメリカ映画 1979年製作 原題:A Little Romance
米アカデミー賞作曲賞受賞
メーカー:ワーナー・ホーム・ビデオ
メディア:DVD
注釈2、「ゴースト/ニューヨークの幻」(監督:ジェリー・ザッカー)
アメリカ映画 1990年製作 原題:Ghost
米アカデミー賞助演女優賞(ウーピー・ゴールドバーグ)受賞
オリジナル脚本賞(ブルース・ジョエル・ルービン)受賞
ゴールデングローブ賞助演女優賞受賞
テーマ曲「アンチェインド・メロディ」(ライチャス・ブラザース)
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メーカー:パラマウント・ホーム・エンタテインメント
メディア:DVD
注釈3、「バリー・リンドン」(監督:スタンリー・キューブリック)
イギリス映画 1975年製作 原題:Barry Lyndon
原作、ウィリアム・メイクピース・サッカレー
米アカデミー賞撮影賞、歌曲賞、美術賞、衣装デザイン賞受賞
英アカデミー賞監督賞、撮影賞受賞
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( 18世紀ヨーロッパの成り上がり貴族バリー・リンドンの恋と野心、決闘と詐欺の半生を、徹底したリアリズムの手法で描いたキューブリックの大河ロマン作品。 <br> 超高感度フィルムとNASA用に開発された特殊レンズを用い、当時のヨーロッパ貴族社会の文化、衣装、生活様式の細部に至るまで緻密に再現した。完全主義者としてのこだわりを見せる一方で、堕落しきった貴族社会をとおして無意味な戦争、権力に対する痛烈な皮肉をも浮かび上がらせる。 <br> 自ら製作も兼ねたキューブリックの、華麗な演出が楽しめる1本。アカデミー撮影賞、美術監督賞、衣装デザイン賞、編曲賞受賞。(山内拓哉))<br />
バリー リンドン [DVD] / ライアン・オニール, マリサ・ベレンソン, パトリック・マギー (出演); スタンリー・キューブリック (脚本); ウイリアム・メイクピース・サッカレー (原著); スタンリー・キューブリック (監督)](http://ecx.images-amazon.com/images/I/51KTF2MD8BL._SL160_.jpg)
メーカー:ワーナー・ホーム・ビデオ
メディア:DVD
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