ヒーローはひとりでヒーローになるわけじゃない。

una birrita Luke? do you want a beer luke?
una birrita Luke? do you want a beer luke? / oseillo

ヒーローはひとりでヒーローになるわけじゃない。
introducing 「ダイハード」「スピード」「ブルーベルベット」
昨今のアクション映画がつまらないのは、強烈な悪役がいないからだ。
ヒーローはひとりでヒーローになるわけではない。絶対的な悪と対峙しそれを退治して初めてヒーローとなる。しかも魅力的なアクション・ヒーローには、決まってコミカルな助っ人がいる。
例えば「スターウォーズ」(エピソードⅣ)。絶対的な悪としてダースベイダーが君臨し、それに対峙するルーク・スカイウォーカーの助っ人としてC-3POとR2-D2が登場する。そして最後においしいところをハン・ソロが持っていく。
ところがエピソードⅥのダースベイダーはいつの間にか、銀河帝国を支配する皇帝に立ち向かうルークの助っ人となっている。何故彼が皇帝の手先になったかは、新スターウォーズ・シリーズを見れば分かる。
ダースベイダーがルークより人気があるのは、絶対的な悪でありながらジェダイの魂を失っていないところだ。もっともシリーズを見ていない人にとっては、DOCOMOケータイの守り神かもしれない。
ハイホー、マンハッタン坂本です。


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2010_05_170289d / gwydionwilliams

繰り返し言ってきたことだが、第一作の「ダイハード」はアクション映画の傑作である。
高層ビルの30階にある妻のオフィスを尋ねたジョン・マクレーン(ブルース・ウィリス)は、テロリストと称する武装窃盗団に襲われ孤軍奮闘する。
冴えないニューヨーク市警の刑事だった彼を図らずもヒーローに仕立てたのは、高級スーツに身を包んだボスのハンス・グルーバー(アラン・リックマン)である。えせインテリの彼は、目的達成に必要な時だけ冷酷に人質を撃ち殺す。
警察やFBIが間抜けな対応をしている間、ジョンはひとりひとり敵を倒していく。だがランニングシャツとズボンに裸足姿をハンスに見られ、ガラスを撒き散らす攻撃を受け足が血みどろになる。
無線だけでやり取りをするアル・パウエル巡査(レジナルド・ベルジョンソン)に対し、流石に弱音を吐く。謝っていたと女房に伝えてくれ、と言い出す始末。
ひとり冷静な状況判断をするが上司に耳を貸してもらえないアルは、力強く励ます――「君なら無事に出てこれる」
結局、ひとりで窃盗団を退治し生還したジョンと妻のホリーを、最後の生き残りから助けたのはアル・パウエル巡査だった。
 (注釈1)

ジョン・マクレーン刑事を撮影でヒーローに仕立てたヤン・デ・ボンが監督した「スピード」もアクション映画の傑作だ。
ロス警察のジャック・トラヴェン(キアヌ・リーブス)は、時速50マイル以下になると自爆するように仕掛けたと爆弾犯のハワード・ペイン(デニス・ホッパー)から挑戦を受け、朝のラッシュ時のバスに乗り込む。
本職の怪我で代わりに運転する羽目になったアニー・ポーター(サンドラ・ブロック)は、必死でハンドルを握る。
だが免停中だと言う。どうして?とジャックに訊かれ、アニーは答える――「スピード違反」
目に見えぬ爆弾犯は、声だけでバスの中を支配している。疾走するバスに次々と襲う難関。ジャックと共にパニックになりながらも突破するアニー。
ハワードは、二度もワイルド・キャット(乱暴運転)のねえちゃんと讃える。彼女のジャケットにアメフトで有名なアリゾナ大学のロゴが入っていたからだ。
車内に監視カメラが設置されていることに気づいたジャックは、偽の映像を送り犯人の目を欺く。
乗客全員の脱出に成功したものの、身代金の受け渡し場所近くでアニーが誘拐される。
彼女の身体に爆弾を巻きつけたハワードは、点火装置を持ってジャックの前に立ちはだかる。
疾走する地下鉄の車両。壮絶な格闘の末、ジャックは憎きハワードを倒す。
  (注釈2)

大学生のジェフリー・ボーモント(カイル・マクラクラン)は、野原で切り落とされた人間の耳を拾う。それをウィリアムス刑事に届けるが、気になって仕方ない。
まだ何も教えられないと言う刑事の自宅を出ると、刑事の娘で高校の後輩のサンディ(ローラ・ダーン)が声をかけてくる。手がかりになる人物の名前と居所を知っていると言う。
好奇心旺盛のジェフリーは、二人で協力してドロシー・ヴァレンス(イザベラ・ロッセリーニ)のアパートに忍びこむ計画を立てる。
まず害虫駆除と称して彼女の部屋に入り鍵を手に入れる。デートを装ってサンディと入ったスロー・クラブで「ブルーベルベット」を歌う彼女を確かめたあと、アパートに潜入する。
ところが、見張りのサンディの合図に気づかず、ドロシーが帰って来る。ジェフリーは慌ててクローゼットに隠れるが、ドロシーに見つかりナイフを突きつけられる。何かに怯えている彼女はジェフリーの服を脱がせ、裸の彼に擦り寄りキスをする。
そこへフランク・ブース(デニス・ホッパー)が乱入し、再びクローゼットに逃げ込む。バーボンをあおりドロシーの股間を覗き込むフランク。何やら酸素吸入器でドラッグを吸い込みながらわめき散らし、擬似セックスをして帰る。
「悲劇が続くのも、コマドリが来るまでよ」
フランクの病的な行動、ドロシーの夫と息子が監禁されていること。ジェフリーの告白を聞いたサンディは、初めて彼と会ったときの夢の話をする。
ドロシーの妖しい魅力に取りつかれたジェフリーは、再び彼女の部屋を訪れる。だがフランクと鉢合わせになり、彼女と一緒にドライブに連れ出される。
車の中でドロシーをいたぶる彼を思わず殴ったジェフリーは、何度も顔を殴られ放り出される。
観念した彼は、麻薬密売の手がかりをウィリアムス刑事に報告する。
だが半狂乱となって全裸のドロシーが助けを求めて来る。驚き恐れおののくサンディ。
ジェフリーは、耳の持ち主である夫の死体をドロシーの部屋で発見する。
そしてクローゼットの中からフランクを撃ち殺したとき、やっと刑事が乗り込んでくる。
ドロシーのもとに息子が戻って来る。ぎこちない行動だったが、すべてはジェフリーの無謀さのお陰である。
サンディと和解したジェフリーは、窓の外にコマドリを見つける。日光浴にうってつけの日だった。
 (注釈3)
In Dreams(歌:ロイ・オービソン)

somewhere in the universe
somewhere in the universe / cage.okada

同じ悪役とは言え、デニス・ホッパーは知能犯的なキャラクターと変態的なキャラクターを見事に演じ切った。存在感のある強烈な悪役だったと言える。
彼が監督・出演した「イージーライダー」は、アメリカン・ニューシネマの傑作である。
ピーター・フォンダがアンチ・ヒーローを演じたが、相棒のデニス・ホッパーや途中で便乗するジャック・ニコルソンは、どちらかと言えばコミカルな引き立て役だった。
  (注釈4)
Born To Be Wild(歌:ステッペンウルフ)

僕のケータイの目覚ましは、「ダースベイダーのマーチ」が鳴り響く。
滅茶苦茶眠いときは死神の警鐘のように聴こえるが、セットし忘れて鳴らなくて寝坊したときは悲惨な目に合う。その点で、悪役であり助っ人でもあるのだ。
エピソードⅦが製作されるという吉報が入ってきた。ファンとしては嬉しい限りだが、果たしてダースベイダーに匹敵する悪役が登場するのだろうか。
相変わらずC-3POとR2-D2のコンビは健在ということなので、あとは悪役次第で面白くもつまらなくもなる。
ヒーローにはやはり助っ人が必要だ。ジョークが上手いやつならなおいい。
安易にヒーロー気分に浸りたいなら、手っ取り早く酒を呑むしかない。ひとりでもできる。

注釈1、「ダイハード」(監督:ジョン・マクティアナン)
    アメリカ映画 1988年製作 原題:Die Hard
    キネマ旬報ベストテン第1位

    メーカー:20世紀フォックス・ホーム・エンターテインメント・ジャパン
    メディア:Blu-ray
注釈2、「スピード」(監督:ヤン・デ・ボン)
    アメリカ映画 1994年製作 原題:Speed
    米アカデミー賞録音賞、音響編集賞受賞

    メーカー:20世紀フォックス・ホーム・エンターテインメント・ジャパン
    メディア:Blu-ray
注釈3、「ブルーベルベット」(監督:デイヴィッド・リンチ)
    アメリカ映画 1986年製作 原題:Blue Velvet
    アボリアッツ国際ファンタスティック映画祭グランプリ受賞

    メーカー:20世紀フォックス・ホーム・エンターテインメント・ジャパン
    メディア:Blu-ray
Blue Velvet(歌:ボビー・ヴィントン)

注釈4、「イージー★ライダー」(監督:デニス・ホッパー)
    アメリカ映画 1969年製作 原題:Easy Rider
    キネマ旬報ベストテン第1位

    メーカー:ソニー・ピクチャーズ・エンタテインメント
    メディア:Blu-ray

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