「俺がこんなに強いのも、当たり前田のクラッカー!」

「俺がこんなに強いのも、当たり前田のクラッカー!」
introducing 「仕事人大集合」「必殺4 恨みはらします」「必殺!主水死す」「明日への記憶」
団塊の世代、あるいはその後のシラケ世代と呼ばれた僕ら五十代が、子供の頃よく見た「てなもんや三度笠」のあんかけの時次郎が懐かしい。
その人気キャラクターを演じたコメディアンが中村主水として死んだ。1996年の「必殺!主水死す」という映画でである。だが2007年のTVスペシャルで生き返った。
1968年の放映以来、あんかけの時次郎をとんと見なくなった。本人はやる気満々らしいが、未だに復活してこない。
(注釈1)
こんばんは、マンハッタン坂本です。
藤山寛美さんが亡くなったとき、ある漫才師がこうコメントした――「死んだら終いですわ」
かつて藤山寛美や財津一郎らと共に上方お笑い界をリードしてきた藤田まことさんが、どうやら一年前に亡くなったのは本当らしい。
僕らの世代にとって、藤田まことはコメディアンだった。
だが「ダイ・ハード」でブレイクするまで「こちらブルームーン探偵社」のお調子者だったブルース・ウィリスのように、重厚さと軽妙さを合わせ持った存在感のある俳優に変身できたのは、深作欣二監督の後押しのお陰である。
数ある必殺シリーズの中で人気があるのは、当然のことながら中村主水が登場するシリーズだ。中でも10周年記念スペシャル「仕事人大集合」は豪華だ。
それまで名立たる仕事人を演じた、山田五十鈴、フランキー堺、中条きよし、三田村邦彦、森田健作、沖雅也、そして緒形拳が結集した。彼らはオランダ商人が雇った短銃を持った外人殺し屋軍団と戦い、仲間の仕事人も数人失いながら、主水が栄転先の長崎で黒幕にとどめを刺す。
落ちは、すでに赴任していた仲村主水(西郷輝彦)に江戸へ追い返される。
(注釈2)
映画版は深作欣二が監督した「必殺4 恨みはらします」が一番のアクション大作だ。それもそのはず、悪徳奉行に真田広之、仕事人の一人に千葉真一が出演し派手な立回りがある。その上、歌舞伎役者然とした旗本愚連隊や色とりどりの小姓姿の取り巻きが一層派手さを助長している。
剣戦では、達人の右京亮(真田広之)に「やるじゃん」なんて言わせるくらい主水も善戦する。
(注釈3)
「必殺!主水死す」では、葛飾北斎殺害を機に武家の跡目争いに巻き込まれる中村主水だが、結局昔の仕事人仲間の女とその恋敵の仕事人との三角関係になる。
飾り職人の秀(三田村邦彦)も三味線屋の勇次(中条きよし)も手が出せないまま、主水は女に後ろから刺され命を落とす。呆気ない最期であった。
(注釈4)
やはり忘れて欲しくないのは、最後の主演映画「明日への遺言」である。
藤田まことさん自身、実の兄を戦地で失っており、戦争の真実を伝える義務を感じて出演したらしい。
この作品は、第二次世界大戦後、B級戦犯として米軍の裁判にかけられた東海軍司令官・岡田資(たすく)中将の実話に基づいている。
名古屋空襲を実行した米軍搭乗員の斬首処刑に関する戦犯裁判で、米軍検察官の追求に対し、岡田中将(藤田まこと)は、弁護人の協力の下、焼夷弾による市街地無差別爆撃は国際法違反だと訴える。
「報復ではありません。処罰であります」
そう繰り返し主張する岡田中将は、略式手続きで処刑を命令したのはあくまで自分であり、部下が責任を負う必要はないと強調する。その態度は毅然としており、法廷内のすべての人々を魅了する。
最終弁論は、寛大なる法廷の処置に対する感謝の意を表した誠実で堂々たるものであった。その甲斐あって、岡田中将以外の19名の部下は死刑を免れる。
絞首刑台に向かう後姿がすがすがしかった。
(注釈5)
今思えば、売れないコメディアンだった藤田まことさんが到達した、強靭なキャラクターだったにちがいない。
繰り返すけれど、人間は死んだらお終いである。それはまぎれもない事実だ。
ただ、俳優という稼業のいいところは、演じたキャラクターが後世まで生き残ることだ。本人が死んでいなくなっても。
あんかけの時次郎も中村主水も「剣客商売」の秋山小兵衛も「はぐれ刑事純情派」の安浦刑事も。そして実在の岡田資中将も確実に生き残る。
後世に残るのは魅力的なキャラクターだけではない。美味い酒も確実に生き残る。
注釈1、「てなもんや三度笠」(TVシリーズ)
1962年~1968年(309回放映) 制作:朝日放送

メーカー:コロムビア・ミュージック・エンタテインメント
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注釈2、「仕事人大集合」(監督:工藤栄一)
TVドラマ・スペシャル 1982年、テレビ朝日系放映

メーカー:キングレコード
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注釈3、「必殺4 恨みはらします」(監督:深作欣二)
日本映画 1987年製作

メーカー:松竹ホームビデオ
メディア:DVD
注釈4、「必殺! 主水死す」(監督:貞永方久)
日本映画 1996年製作

メーカー:松竹ホームビデオ
メディア:DVD
注釈5、「明日への遺言」(監督:小泉尭史)
日本映画 2008年製作 英題:Best Wishes for Tomorrow
原作、大岡昇平「ながい旅」

メーカー:角川エンタテインメント
メディア:DVD
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