「ダンス・ダンス・ダンス」は、 ビーチ・ボーイズのヒット曲だ。

「ダンス・ダンス・ダンス」は、ビーチ・ボーイズのヒット曲だ。
introducing 「マスク」「ガープの世界」
同じフレーズのコーラスで始まるのは竹内まりやの「恋の嵐」で、同じ題名の小説を書いたのは村上春樹だ。
彼が書いた小説の中でベスト3に入るくらい好きな作品だが、もっとも読まれたのは「ノルウェイの森」である。
「Norwegian Wood」は、ジョン・レノンの「Woman」に匹敵する名曲「Girl」や「Michelle」などが収録されたビートルズのアルバム「ラバー・ソウル」の中の楽曲で、村上春樹の小説がベストセラーになって広く知られるようになった。
「1Q84」のお陰で、ヤナーチェクの「シンフォニエッタ」が売れたのと同じ現象である。
(注釈1)
こんばんは、マンハッタン坂本です。
僕がもしビートルズの楽曲を小説のタイトルに使うなら、迷わず「The Fool On The Hill」にする。
ポール・マッカートニーの曲で、ビートルズ自身が主演した「マジカル・ミステリー・ツアー」という映画の中で流れる。ポールのPVみたいな映像で、フランスのニースの丘で撮影されている。
洋楽を聴き始めたばかりの僕は、シングル・カットされなかったその曲を、1969年の秋に初めて聴いた。14歳だった。間奏はポールがリコーダーで多重演奏をする。それがたまらなく好きだ。
丘の上に住んだことはないが、小説の中の僕は常に「丘の上の馬鹿野郎」だ。
(注釈2)
ロッキー・デニス(エリック・ストルツ)は15歳。骨が膨張し顔がライオンのように変形する病気に冒されている。マジックミラーの中でしか人間の顔に見えない。転校した学校の生徒から「マスク」をかぶっているのかと冷やかされても気にしない。医者から余命半年と言われ続けても気にしない。それどころか、中学の卒業式で数学と歴史と科学の最優秀生徒に選ばれる。
ハーレー・ダビッドソン命のバイカーたちから可愛がられるが、彼らとつき合う母親のラスティ(シェール)のヤク中だけが気になる。
頭痛がひどいときは優しく寄り添ってくれるのに、なかなかドラッグをやめてくれない。
ロッキーは母に愛想を尽かし、カウンセラー助手として盲学生のサマーキャンプへ行く。そこで美少女のダイアナ(ローラ・ダーン)に一目惚れをする。
「ママが教えてくれたんだけど、落ち込むとき、何かすてきなことを考えるんだ。今とてもすてきだ」
ニューイヤー・パーティで彼女と踊りながら、最高のときをかみ締める。BGMにビートルズの「Girl」が流れている。
だがある朝、母親は学校から不登校の連絡を受ける。ビートルズのポスターが貼られたロッキーの部屋に入ると、ベッドに16歳の亡骸が横たわっていた。
(注釈3)
「ガープの世界」の主題歌は、ビートルズの最高傑作と言われる「サージェント・ペパーズ・ロンリー・ハーツ・クラブ・バンド」というアルバムに収録された「When I’m 64」である。録音当時24歳だったリード・ヴォーカルのポール・マッカートニーは、2006年にすでに64歳となった。
主題歌に合わせて、赤ん坊のT・S・ガープが空を飛んでいる。彼の父親は意識のない傷痍軍人で、勃起し続けるペニスに跨った看護婦のジェニー・フィールズ(グレン・クローズ)の中で射精し事切れる。その行為に対し母親は、ベビーだけが欲しかったのと言う。
寄宿学校の看護婦として雇われた母親のもと、空想好きのガープは大きくなる。父親をパイロットだと思い込み、ヘルメットに似たサポーターをしたレスリングの選手となる。
やがてガープ(ロビン・ウィリアムズ)は、新任のコーチの娘で、いつもトレパン姿で読書をするヘレン(メアリー・ベス・ハート)に好意を持つ。
レスラーで作家なら結婚してもいいと言う彼女の言葉を信じ、母親と共にニューヨークに出る。ジェニーは自伝小説「性の容疑者」を完成させ、大ベストセラーとなる。
ガープは短編小説「魔法の手袋」を書き、ヘレンに読ませる。そのあまりの哀しさに涙を流し、彼女は結婚を承諾する。
「泣かないで。母親が泣くものよ」
「家で料理や掃除をするのは僕だ。僕が泣くよ」
二人の間に子供ができたことを知らされ、ガープはこぼれ落ちそうな笑みを浮かべる。赤ペンでヘレンのお腹にベビーの顔を描く。
母親の住む海辺の一軒家を尋ねると、そこは男に傷つけられた女たちの「駆け込み寺」と化していた。彼女の小説を崇拝するフェミニストの溜り場でもある。その中に、性転換した元アメフト選手のロバータ(ジョン・リスゴー)もいる。
大学の助教授となったヘレンは、英文科の大学院生から誘惑され浮気をする。それを知らされた直後、ガープは車の衝突事故を起こす。夫婦ともに大怪我をし、長男ダンカンの片目と次男ウォルトの命を失う。
「引き波に注意するんだ」
子供の頃何度も母親に言われたことを、ガープは最愛の息子に向って叫ぶ。
海辺の家で療養するうちに仲直りをし、娘を授かる。ガープにとって最上の幸福が戻ってくる。夫婦そろって子供たちの寝顔を見ることができるからだ。
ロバータの警告にもかかわらず、女性知事候補の応援演説の最中にジェニーが銃弾に倒れる。
ガープも銃弾に倒れる。フェミニストを刺激する本を書いたからだ。
ドクター・ヘリの中で、ガープは寄り添うヘレンに酸素マスクを外してもらう。そして笑顔でつぶやく――「空を飛んでる。ドゥラン・ドゥラン・ドゥラン」
(注釈4)
「ノルウェイの森」の映画化に際し、トラン・アン・ユン監督はビートルズの原盤使用の許可を一年がかりで取り付けた。日本映画の主題歌としては29年ぶりの快挙だという。
ハンブルグ空港上空で流れるのはオーケストラの演奏だが、主人公を激しく混乱させるのは18年前から変らぬオリジナルの歌だった。
アイオワ大学創作科でカート・ヴォネガットに師事したジョン・アーヴィングが1978年に発表した小説「ガープの世界」は、のちに「ガープは実在する!」(I Believe in Garp)という文字が入ったグッズが売られるくらい大ベストセラーとなった。
その原作を監督したジョージ・ロイ・ヒルは、「スローターハウス5」も映画化している。カート・ヴォネガット原作である。
カートから多大なる影響を受けたジョン・アーヴィングと村上春樹の映画化作品は、共にビートルズの原曲を主題歌に使った。
(注釈5)
数あるビートルズの傑作アルバムの中から、今宵は「マジカル・ミステリー・ツアー」を聴きながら酔っ払う。
ALL YOU NEED IS LOVE だ!
注釈1、ビートルズ「ラバー・ソウル」
注釈2、「マジカル・ミステリー・ツアー」(監督、ビートルズ) イギリスTV映画 1967年製作 原題:Magical Mystery Tour
注釈3、「マスク」(監督、ピーター・ボグダノヴィッチ)
アメリカ映画 1984年製作 原題:Mask
カンヌ国際映画祭、主演女優賞(シェール)受賞
注釈4、「ガープの世界」(監督、ジョージ・ロイ・ヒル)
アメリカ映画 1982年製作 原題:The World According to Garp
原作、ジョン・アーヴィング
ニューヨーク映画批評家協会賞、助演男優賞(ジョン・リスゴー)受賞
注釈5、「ノルウェイの森」(監督、トラン・アン・ユン)
日本映画 2010年製作
ヴェネチア国際映画祭コンペティション部門、正式出品作品
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