お節介も、おいしい仕事のうち。

Table of lights / Iain Farrell
お節介も、おいしい仕事のうち。
introducing 「博士の愛した数式」「幸福のスイッチ」
「出しゃばって余計な世話をやくこと」をお節介という。
どう転んでも肯定的に受け止められる行為ではない。それが果たして仕事として成り立つことがあるのだろうか。
「自らの強みに集中すべきである」とは、経営の神様であるピーター・ドラッカーの言葉だが、起業家向きであって、お節介なやつのためのキーワードではない。
かく言う僕も、御大層に映画紹介なんかやっているけれど、僕なりのお節介だ。僕が紹介した映画を鑑賞して、人生が変ったなんて感謝されたいわけではない。
僕自身、人生観が変った映画はあるけれど、紹介した映画をできるだけ多くの人に観てもらいたいだけだ。しかも、お忙しい方のために、観た気になってしまうネタバレ文だ。
こんばんは、マンハッタン坂本です。
「博士の愛した数式」は、数あるオイラーの公式の中で「オイラーの等式」と呼ばれ、「数学における最も美しい定理」とされている。
交通事故が原因で、80分間しか記憶がもたない数学博士(寺尾聰)の家に、新しい家政婦・杏子(深津絵里)がやって来る。彼女は、朝11時から夕方7時まで食事と身のまわりの世話だけでいいと依頼主の義姉から指示されている。
毎朝初対面みたいなもので、博士は必ず彼女の靴のサイズを訊き、潔い数字だと言う。
彼の頭の中は、1975年の春から止まっており、生活のすべてが数学に置きかえられる。220と284のそれぞれの約数の和が互いの数になる関係を「友愛数」と呼ぶという話は、とりわけ彼女を感動させる。
「足を動かして血のめぐりがよくなれば、数学のアイデアが浮かんでくるかもしれませんよ」
桜が満開の公園に博士を連れ出した杏子は、自然を満喫しつつ、野草取りに夢中になる。
10歳になる息子が学校帰りに訪ねて来る。賢い心が詰まっていそうだ、と博士は息子の頭をなでながらルートと名づける。互いに阪神タイガースのファンで意気投合する。
博士は、ルートの野球練習に参加し試合を観戦するが、疲れで熱が出る。
杏子は、派遣家政婦の規約違反にもかかわらず三日三晩看病をする。
それが原因でクビになる。
だがしばらくして博士のもとへ戻る。博士も「オイラーの等式」で答える。夜空に光る一つの星の美しさ、野に咲く一輪の花の美しさ。人類が解き明かせない美しさという意味がこめられていた。
再び杏子は博士の家に通うようになり、毎朝靴のサイズを訊かれる。
(注釈1)
田舎で小さな電器屋イナデンを営む誠一郎(沢田研二)は、お客様第一が信条。仕事中に骨折して入院しても、携帯でアフターフォローや御用聞きをやっている。
次女の怜(上野樹里)に言わせれば、外面の天才。家族ばかり苦労させられ、何で電器屋が電気止められるの!と文句たらたらである。
そんな彼女が慌てて東京から帰って来る。妊娠8ヶ月の姉の瞳(本上まなみ)が倒れ、絶対安静で入院したからだ。
だがそれは妹の香(中村静香)の策略で、父親が退院するまでの一ヶ月、店を手伝う羽目になる。
店番、電話番だけかと思いきや、購入商品、修理履歴、家族構成、家の間取りまで詳しく記録したお客様台帳を見せられる。店は常連客のたまり場、依頼が来る仕事は出張修理ばかり。挙句に、マッサージ機の移動をしてくれと一人暮らしの老婆から頼まれ、駆り出される。
雷雨の夜、誠一郎はギブスをつけたまま病院から駆けつける。留守電にたまった依頼をこなすため、一軒一軒まわって修理をする。
「売るのも大事やけど、売ってからがもっと大事や」
怜に向かってそう言いつつ、彼女が老婆の耳が遠いことに気づき、オーダーメイドの補聴器を売ったことを褒める。
東京で会社を辞めたことを心配する姉、精力的に店の手伝いをしつつ、浮気ができる親父じゃないと気をもむ妹、顧客の家を一緒にまわって仕事をする中学の同級生、そしてイナデンをひいきにする町の人々。
そんな人たちのお陰でひとまわり成長した怜は、辞めた会社のイラストレーターに復帰する。
それにしてもストレス解消に、彼女がやっていた電球割りはなかなかいい。
(注釈2)
ある都会の家電店には、お節介をする部門がある。家電製品のリモコンの使い方を習得するまで我慢強く教えたり、切れた電球を取り替えるためにわざわざ顧客の自宅まで訪問するのは当然、ついでに部屋の模様替えや買い物のお使いまでしてくれる。その代わり、店舗に展示してある商品はすべてメーカー希望小売価格。一切値引をしない。
それでも年寄りは、ディスカウンターには目もくれずその店で買い物をする。
結局のところ、お節介とは至れり尽くせりの過剰サービスである。
お節介ついでに、日本のお金持ちの皆さんにお願いしたい。世界中には日々飢えと戦っている子供たちが沢山いる。TVや映画のドキュメンタリーを見れば一目瞭然。
どうか一人でも多く貧乏な国の子供たちを引き取って欲しい。乱暴な言い方だけれど、少子化問題なんてそれで解決できる。
またまたお節介ながら、「飲むなら乗るな」「飲むなら、我が家で映画を見ませう」
「博士の愛した数式」の深津絵里が、モントリオール世界映画祭最優秀女優賞を受賞した。おめでとうございます。

日本映画 2005年製作
原作、小川洋子(第1回本屋大賞受賞)
注釈2、「幸福のスイッチ」(監督、安田真奈)
日本映画 2006年製作
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